老後も田舎で暮らす

思いついたことをつらつらと

安心のために認知症患者のための個人賠償責任保険に入っていた。

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伯父の為に認知症患者のための賠償責任保険に入っていた。

亡くなるまで保険を一度も利用することはなかったが、気持ちの上で安心感はあった。

 

認知症と診断された時のために備える保険はよくみかける。認知症と診断されたら、医療費や介護にかかる費用などに充てるために一時金を受け取ることができるものだ。

これらの認知症保険はまだ認知症になっていない判断力がある人のための保険だ。

 

伯父は認知症になってから、施設脱走をはじめとするさまざまな問題行動をおこしてきた。

そして、問題行動が原因で精神病院に入院させることになった。

精神病院への入院を期に、まったく不本意ながら、私が伯父の世話係をすることになった。

入院中も引き続き問題行動はあったものの、他人に危害を加えるようなことはなく退院することになった。

退院後に新しい介護施設へ伯父を移すことにしたので、念のために認知症患者のための賠償責任保険を探した。

それというのも、認知症の人が線路内に侵入して電車と衝突して死亡した事故で、家族が鉄道会社から損害賠償を請求されたニュースが印象深かったからだ。

この事件は最高裁では家族の責任を否認されたが、下級裁判所では家族の責任を問われて賠償に応じるようにとの判決が出た。

 

認知症患者の判断力は全く期待できない。

危ない、危なくないなんて問題じゃない。

認知症患者は気持ちのおもむくままに行動にうつす。

しかも、子供と違って体力もあり、動きも速い。

施設を脱走したら、どこまでも気の向くままに歩いていく。

 

介護施設職員や入所者への暴力。

自分の行動を阻むすべての人は敵。

 

認知症患者に自分のものと他人の物の区別はない。

使い方を考えることはできないから、無理やりこじ開けたりは日常茶飯事。

物は簡単に壊すと思った方がいい。

 

伯父が亡くなるまで何度も菓子折りをもって頭を下げた。

 

賠償責任問題になった時に裁判で私が責任を取らされることはなかったはずだ。

伯父の扶養義務はないし、施設へ入所させているので毎日の生活の面倒を見ているわけではなかったから。

しかし、何かあった場合に知りませんとはいえないのも現実だと思う。

菓子折りですめばいいけれど。

 

私が入った保険は私が加入者、被保険者が伯父、支払いは私がした。

年間1万程度の保険だった。

保険会社からは支払いは伯父の口座から引き落としも可能だと案内された。

何かあっても保険があるという安心感は心強かった。

あの時は保険の選択肢も今より少なく、できるだけ補償金額が高い保険に加入したが、今、加入するなら実際に保険の支払い実績がどれくらいあるのかということも確認してみたほうがよかったなぁと思う。

 

自治体によっては認知症高齢者等個人賠償責任保険の制度がある場合がある。

もし、個人賠償責任保険に加入するつもりなら、一度、お住まいの自治体に個人賠償責任保険の制度がないか確認してみたらいい。

自治体の制度が利用できるなら、格安で契約ができる、もしくは無料で利用できるはずだ。

補償内容に納得できるなら、保険にできるだけお金は掛けないに越したことはない。